デイーゼルエンジン

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デイーゼル車の排ガスは都市の大気汚染の元凶とされ、排ガス規制も強化された。90年には約27万台だったデイーゼル車の国内販売台数は、07年は約4千台。新車販売全体の0・1％以下だ。ただ、自動車メーカー各社は新規性に対応したデイーゼル乗用車の開発に成功、今後、次々に国内市場に投入する予定だ。開発に遅れを取り、欧州市場でのシェアが伸び悩む日本メーカーにとって、高性能の次世代デイーゼル開発は成長のカギを握っている。
「環境に悪い」との烙印を押され、表舞台から退場寸前となっていたデイーゼルエンジンが、再び注目を集めている。排ガスを綺麗にする技術が進歩、今やデイーゼルエンジンを積んだ乗用車が電気自動車などと並んで「エコカー」の一つに挙げられるほどだ。
デイーゼルエンジンは19世紀に発明された。名前は、開発者であるドイツの技術者デイーゼルから、ガソリンエンジンに比べ力強く加速できる。燃料は軽油や重油など。頑丈で、トラックやバスなどの車のほか、船舶や鉄道車両にも広く使われてきた。
少量の燃料を高圧で燃やすことが出来、ガソリン車よりも燃費が2～3割いいので、二酸化炭素（Co2)の発生量が少ない。一方でnox(窒素酸化物）とｐｍ（粒子状物質）の排出量はガソリン車よりも多い。
というのは、燃料を完全燃焼させるとpmは減るがnoxは増える。不完全燃焼させるとnox は減るものの、pmは増えるためだ。二つの物質を同時に減らすことが、エンジンの開発メーカーにとっては長年の課題だった。
90年後半から、両者を同時に減らす技術が次々と開発された。その代表が「コモンレール」。高圧の燃料をコモンレールと呼ばれる金属の管に蓄えておき、燃料の噴射量や、噴射のタイミングを電子的に制御することで、nox の発生を抑えながら、pm も少ない完全燃焼に近づけた。
排ガスの有害物質を取り除くフイルターや硫黄分を減らした燃料の開発も進み、低公害化が進んだことも大きい。新技術の車は「次世代デイーゼル車」「クリーンデイーゼル車」と呼ばれ、欧州では90年代後半から急速に普及。今では乗用車の50％がデイーゼル車だ。もっとも、日本ではまだ「デイーゼル車=真っ黒な排ガス」という、かってのイメージが強い。政府はデイーゼル車にガソリン車並の排ガス性能を要求する新規性を09年に導入する一方で、Co2削減のため、規制を満たした車に補助金を支給することも検討している。
デイーゼルエンジン　　　　　　　　　　　　　　　ガソリンエンジン
①空気だけ吸入　　　　　　　　　　　　　　　　　①空気と燃料を吸入
②圧縮　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　②圧縮
③燃料噴射　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　③スパークプラグで点火
④自然着火し燃焼　　　　　　　　　　　　　　　　④燃焼
⑤排気　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⑤排気
co2(二酸化炭素）　　少ない　　　　　　　　　　co2（二酸化炭素）　多い
nox(窒素酸化物）　　多い　　　　　　　　　　　　nox(窒素酸化物）　少ない
pm(粒子状物質〕不完全燃焼で増える　　　　ｐｍ〔粒子状物質）　少ない