医療ミス

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医療ミスは、現代の大問題である。
交通事故死は年間６千人だが、医療事故死はその４倍、２万６千人が亡くなっているとの推計がある[日本医大教授調べ]
自殺防止と医療事故への対策を進めれば、かなりの人命が助かるとも言われている。
江戸時代も、医療ミスは多かった。第一は薬害。当時は医師国家試験がない。変な医者もいて、患者に悪い薬を飲ませ、しばしば死なせた。
御典医も例外でない。世襲の弊害で実地の診療経験が少なく、十分な治療の出来ない者もいた。
１７８１年、老中、田沼意次（おきつぐ）の子・意知（おきとも）（35)が江戸城中で切られた。傷は肩から背に、長さ８寸（約24センチ)、深さ１寸（約3センチ）の大きさ。適切に処置すれば、助かったかも知れない。
ところが、当直の外科医は[かように大切な傷を縫う道具を持参せず]とブルブル震えるばかりだった。内科医は興奮剤を投与、傷口に鶏卵を塗りつけ、[自分は縫えない]と屋敷に返した。
意知（おきとも）は揺れる駕籠の中で大出血。数日苦しんだ末死んだ。医者は、万民の生死を司る大事な職である。
ゆえに[医を学ぶ者、もし生まれつき鈍にして、その才なくんば、自ら知りて、早く辞めて、医となるべからず]。
江戸前期の学者。貝原益軒[養生訓]の言葉は厳しい