[一握の砂]

梅雨らしいです｡

 

「君に似し姿を街に見る時のこころ躍（おど）りを  あはれと思え。

かの時に言いそびれたる  大切の言葉は今も  胸に残れど」

 

これら石川啄木の歌集[一握の砂]の[忘れがたき人人]（二）にある22首の歌は全て､たった一人の女性橘智惠子を詠んだものである。二人は１９０７年（明治４０年)の３ヶ月ほど､北海道・函館の弥生尋常小学校で同僚教師だった｡

石川啄木は１９歳で詩集[あこがれ]を出し､中学以来の恋人堀合節子と結婚した｡

しかし､代用教員をした小学校でストライキを指導し､故郷の岩手県渋谷村（盛岡市)を離れた｡

１９０７年[明治４０年]､一家は離散して啄木は北海道に単身赴任｡

函館で代用教員や新聞記者をしたが､大火で職場を失い､札幌から小樽､釧路を転々とする｡

１年弱の北海道生活の後上京し､北海道時代を歌う[一握の砂]を出した｡

小説家を目指したが作品は売れず､肺結核のため２６歳で亡くなった｡

 

 

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