缶詰

缶詰の起源は19世紀初頭にさかのぼる。保存食と言えば塩漬けや干物ぐらいしかなかった1804年，フランスのナポレオンが兵士向けの食料の保存法を公募｡ニコラ･アペールという人物が食品をビンに詰めてコルク栓で密閉し，湯で過熱する方法を考えた｡その6年後には英国でブリキを使った缶詰が発明された｡その後，米大陸に伝わって南北戦争で普及が進むなど，戦争とかかわりが深い｡日本では1877年に明治政府が北海道で鮭缶の工場を始めて稼動させた。

大地震などに備え，非常食として缶詰めを買いだめしている人も多いだろう｡ふと，気付くと賞味期限が過ぎてしまっていることもある，少しぐらい期限を過ぎても健康に問題はなさそうに思えるが，実際にはいつまで食べられるのだろうか｡「缶が密閉されている限り，理屈上は半永久的に食べられます｡アジは徐々に落ちていきますが」缶詰めメーカ約300社が加盟する業界団体，日本缶詰協会の業務課長は約130年前に英国で製造された牛肉や野菜の缶詰を試食したところ，味は悪くなかったとの報告もあると話す。かって缶詰には製造年･月･日だけが表示されていたが，食品衛生法で95年から賞味期限の表示が義務付けられた。賞味期限は「おいしく食べられる期限」としてメーカーが十分な余裕をみて設定している｡缶詰では製造の3年後となっていることが多い｡中身が腐らないのは，工程を見れば納得できる｡まず調理した食品を缶に詰める｡フタをかぶせ，中の空気を抜きながら，フタと側面を一緒に巻き込む，二重巻き締めと呼ばれる方法で密封｡その後，缶に圧力を加えながら，場合によっては100度以上の高熱で殺菌する｡殺菌剤や保存料などは一切使わない｡多くの缶詰で主役の食材が調味液やシロップで浸されているのは，味付けだけでなく，熱を食品内部まで伝えやすくし，確実に殺菌するためでもあるそうです｡スーパーの店頭には，缶がへこんだ物も見かける「真空に密閉されている証拠で，食べるのには何の問題もありません」缶詰は時間が経つほどアジは悪くなるのが一般的だが，ツナ缶など一部の商品は，調味液の油と身が適度に「なじむ」まで時間がかかる｡製造日から1年以上経った方がおいしい場合もある｡とはいえ，いったんフタを開けたら生ものと同じだ｡「肉や魚は火を通し，濃く味付けし直せば2～3日は持つ。（缶詰協会）というが，早めに，食べるに越したことはないそうです。

 

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