花火の夏

花火の夏がやってきた｡日本煙火協会によると､主な花火大会だけでも全国で２００を超え､多くは夏に集中する｡その日本の花火｡打ち上げられると､空中で球を描くように丸く開く事に特徴がある｡日本の花火球と違い､欧米などは円筒形で､空中で柳の枝のような開き方をする｡花火師たちは､綺麗に丸く開かせる事に技を競い合う｡各地で花火の競技大会があり､花形は直径約３０センチの[尺玉]だ｡
花火の火薬には､光を出す球形の[星]と花火玉を割って星を飛ばす粒状の[割薬]の２種類がある｡それをおわん形の紙の容器に詰め､二つ合わせて上から紙を張り､玉にする｡火薬の配合や配置に花火師それぞれの技術がある｡花火の色は､理科の実験でおなじみの[炎色反応]で生み出される｡光の三原色である赤・青・緑のうち､赤はストロンチウム・青は銅｡緑はバリウムなどを使う｡組み合わせで､中間色も出来る｡ここ１０年ほどで､水色やレモン色､ピンクといった微妙な色も普通に使われるようになった｡
ただ絵の具を混ぜるように感嘆にはいかない｡色によって､最適な温度が異なる｡その調節が難しいという｡特に青は１２００度前後が最適とされる｡他の色は２０００度ぐらいだから､格段に低い｡温度が高すぎると白っぽい色になり低すぎると暗くなる｡綺麗な青や紫は微妙なさじ加減が必要になる｡
花火大会の原型は江戸時代に出来上がった｡ところが当時は炭・硝石・硫黄を混ぜた黒色火薬によるオレンジ色しか出せなかった｡それが明治になり､新たな火薬が西洋から持ち込まれ､明るく多彩になった｡現代はコンピーター制御の打ち上げも一般的となった｡P・Cと電気点火を組み合わせ､１００分の１秒の制度でタイミングを調整｡音楽に合わせて大量の花火を正確に打ち上げられるようになった｡日本の花火は技術性・芸術性・安全性のいづれをとっても､世界に誇れる水準にある｡
花火師の技と経験に最新の科学が加わり､花火はまだまだ面白くなる｡夏を彩る花火には､一瞬の美しさに賭ける花火師たちの心意気も詰まっている｡

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