夏気立（なつこだち）

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夏になり、青々と葉が茂った木々を［夏木立］という。［夏木］は葉が青く茂った一本の木のこと。鬱蒼（うっそう）とした森に入ると、大きなブナが、枝をいっぱいに広げて陽を浴びようとしている。ブナの木は葉も隙間なく茂るので、少しくらいの雨ならブナの木の下に逃げ込めば、ほとんど濡れる心配がない。この時期はブナの木など、大きな夏木が格好の雨宿りの場所となる。雨が降るとブナの葉は全身でこれを受け止め、枝を伝って幹へと流れ、やがて根元の土に染み込んでいくのだ。
夏河原（なつかわら）
河原の石が目立つような日照りが続き、川の水が涸れ始めると、子供達は涼を求めて川遊びに興じたものだ。水かさの少ない夏の川のことを［夏河原］という。ハクセキレイの歩く姿が見え、川辺にはうっそうと草が生い茂る。むっとした草いきれの中から、大きな蝶が突然姿を現わしたりする。梅雨のために水かさを増した川が［五月川］。川水が濁り、勢いが増して出水（でみず）となって下流へと流れる。やがて川の水が平穏を取り戻し、濁りも晴れて澄んだ水となった時、子供達は［水切り］で腕を競うのだ。