｢バイキング料理」

食べたいものを自由に選んで食べる｢バイキング料理」。その呼び名は50年前，東京･帝国ホテルで生まれた。北欧に，食べ物をたくさん並べ，各自で取り分けて食べる｢スモーガスボード」という料理があるそうです。58年8月1日，このスタイルに倣（なら）ったレストランが同ホテルにオープンした。同ホテル広報課によると，社内で店名を公募し，3人が応募した｢バイキング｣という案を取り入れ｢インペリアルバイキング｣と名づけたという。同じ頃米国の海賊映画｢バイキング｣の試写会が都内各所で行われ，有楽町で封切られた。その豪快な食事シーンがネーミングのヒントになったとする説もある。当初はいわば｢固有名詞｣だったバイキングだが，食生活多様化の時流に乗って広く模倣･アレンジされ，急速に｢普通名詞」化していった。今年，日本記念日協会が8月1日を｢バイキングの日｣として認定した。日本に定着した証しだろう。

今年，種の無い枇杷が始めて店頭に並んだ。千葉県の農林総合研究センターが10年をかけて生んだ新品種｢希望」あるべきものが無い珍しさに1個5千円の値もついた。こうした｢破格｣の最たるものは夕張メロンだ。過日の初競りにて，2個250万の史上最高値が出た。今年も夕張再建のへの激励だという。ひとたびブランドになれば話題作りも思うがままだ。より甘く，もっと大きく，さらに食べ易くを目指して，探究心と商魂の並走は続く。自給ままならぬ日本の食糧事情は，かくして頂ばかりが伸びてゆく。

 

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